QAの教育に関して
前述のような膨大な体系を誇るQAですが、米国ではICAK-USAの公認コースとして、ICAKベーシックコース約2倍の時間をかけて15回のセッションで教えられています。各セッションの主な内容は次の通りです。
セッション1.痛みの除去
筋紡錘、ゴルジ腱、起始‐停止テクニック、自律性促通と抑制、疼痛除去テクニック(IRT、NSB、セット・ポイント、LQM)など
セッション2.腰部
腰部の筋、ビタミンEと腰部の筋、脊椎チャレンジ、骨盤カテゴリー、仙骨と腸骨のフィクセーション、腸腰靭帯IRT、仙刺靭帯・仙結節靭帯IRT、歩行など
セッション3.肩―パート1/疲労と炎症1
肩の筋1(ローテーターカフ含む)、内臓チャレンジ・テクニック、必須脂肪酸、代謝と炎症、CBCの栄養評価、筋膜リリースなど
セッション4.肩―パート2/疲労と炎症2
肩の筋2、ビタミンCと肩の筋、一般的な肩の問題、アスコルビン酸、クエン酸回路と電子伝達系の評価など
セッション5.脊椎アジャストメント/疲労と炎症3
屈曲反射と求心性サブラクセーション・パターン、脊椎のカップル運動メカニズム、頚椎と腰椎のカップリング評価、アンカップル・パターンの修正、カップル・メカニズムの頚椎・腰椎のアジャスト、内臓チャレンジ・テクニック、復習(抗ヒスタミン・チャレンジと食物アレルギー、TSラインなど)
セッション6.頭部と頸部―パート1/免疫システム1
頭部と頸部の筋1、予備テスト・イメージングによるクラニアル・フォルトのスクリーニング、頭蓋とTMJのIRT、頚椎アンカップル・メカニズムの原因となる頭蓋とTMJの障害、構造的な前頭骨クラニアル・フォルトの治療、免疫システムが一次原因であるときとクラニアル・フォルトやTMJ問題が二次的に免疫システムに影響している場合、中脳、頭蓋、TMJと免疫機能異常
セッション7.頭部と頸部―パート2
頭部と頸部の筋2、クラニアル・フォルトに関連したTMJ、IRTによるTMJ筋群の治療、歯のテクニック、スイッチングと神経錯乱など
セッション8.消化器系
消化器関連筋、内臓関連痛の評価、食道裂孔ヘルニア、逆流性食道炎、回盲弁症候群に対する治療体系、砂糖とオープン回盲弁、胃結腸反射と隠れた食物アレルギーなど
セッション9.下肢/内分泌機能低下の問題
膝の筋、一般的な膝の問題、四肢のチャレンジとアジャスト、内分泌低下の指標としてのTLR、副腎機能低下、足と足首の筋、一般的な足と足首の問題など
セッション10.副腎ストレス症候群/感情テクニック
副腎機能低下‐復習、副腎機能亢進、副腎チャレンジ・テクニック、センタリング・ザ・スパインの導入、靭帯ストレスと副腎ストレス症候群、感情リコールの応急治療、ハート・フォーカス・テクニックなど
セッション11.化学物質過敏/肝臓デトックス1
化学物質過敏(代謝と免疫的)、肝臓デトックスの方法(第1期と2期)など
セッション12.上肢/肝臓デトックス2
肘の筋、一般的な肘の問題、コレステロール・チャレンジと治療、内臓チャレンジを用いた悪性食物脂肪のためのテクニック、手首と手の筋、一般的な手首と手の問題、免疫サイトカインと肝臓デトックスなど
セッション13.高血糖/関節の退行変性を止める
付加的な歩行チャレンジ、高血糖とインシュリン不感性、両側の上肢の問題、栄養と食事の管理、関節軟骨、
セッション14.一般的な内分泌腺の機能障害
副腎機能障害の復習、甲状腺、女性ホルモンと月経サイクル、骨盤内臓下垂(子宮リフト)、下垂体と松果体、内分泌の相互関係など
セッション15.一般的な代謝機能障害/免疫システム2
免疫システムの異常が2次的な場合、侵害受容器の脱分極を起こす7つの化学物質、漂白剤とアンモニアのスニフテスト、抗酸化栄養素、硫黄酸代謝とホモシスティンなど
当初、私は口伝身授とはかけ離れたDVDによる通信教育システムで本当に身につくのか懐疑的でした。しかし、語学的なハンディがある自分にとって繰り返して見ることができるメリットは大きく、むしろ実地にセミナーを受講すること以上に有益な点もありました。
また、米国でもQAはDVDやオンラインによる教育が主流になっており、QAドクターによる実地のワークショップは、オンライン学習の補助的な位置づけになっていることを知るに及びオンライン学習に対する認識は大きく変わりました。
しかしながら、QAのカリキュラム自体がICAK-USAの正規カリキュラムということもあり、AKの基礎ができていない人にとってはDVDの学習は適していないとも言えます。
また、Dr. McCordのメッセージにもあるようにQAではQA Proficiency Examinationと称する実力試験があり、一種の認定制度を設けています。受験はICAKの認定と同様カイロプラクターまたは医師、歯科医師に限られており、その他にもいくつかの要件を満たす必要があるので、簡単ではありませんが、現在では日本語での受験もできるようになりました。
Dr. McCordからメッセージには間に合いませんでしたが、同学の士でもある石田先生が、この原稿執筆時点のつい先日、初のQA実力試験・日本語版を受験し、レベル1に合格されました。これにより日本で2人目のQAドクター(QA Docと称される)が誕生しました。
さらに、現在Dr. McCordと筆者の間で日本におけるQAの在り方を含めた議論を重ねており、日本におけるQAにも新たな動きが出てきており今後の展開が楽しみでもあります。
最後になりますが、筆者のQA学習のきっかけを作り、日々の臨床を縫っての勉強会準備の過酷さに根を上げそうになった筆者を叱咤激励し4年の長きにわたり学習を共にしていただいた石田先生には感謝してもしきれません。
また我々の学習を全面的にサポートしてくださったDr. McCordとDr. Schmittに深く感謝します。
にほんブログ村←ブログランキング参加中 クリックお願いします